この著作は、以上に述べた私の気分に驚くほどマッチしていました。というよりベルリンオリンピックを頂点とする戦前のスポーツ熱と今の時代の雰囲気が似通っているのかもしれません。W杯期間中「改めて民族というものを認識して欲しい」と言う柡硊¥事もいたわけで、「スポーツの一体感」とそれを利用したいという政治側の思惑は今も昔も変わらないもののようです。もちろんそれほど単純なものではなく、あらゆる人々、そしてスポーツに携わる人々自身に様々な思惑があって、スポーツを形作っていたのは間違いありません。
ご一読をオススメします。
権力装置としてのスポーツ―帝国日本の国家戦略 (講談社選書メチエ)
坂上 康博講談社
講談社
W杯の期間中、私は連日熱戦をリアルタイムで見られて嬉しかった。別に日本が勝ち進んで嬉しくなかったわけではない、いや、嬉しかった。でも、熱狂するサポーターたちをついていけない思いで眺めていた。ニッポンニッポンと煽り立てるようなマスコミにはウンザリした。「感動した!」と言う某首相にはさらに辟易した。全ての日本人が熱狂している、という雰囲気に飲み込まれそうになっていた。私はスポーツをスポーツとして好きなように楽しみたいのに・・・。
明末のはぐれ知識人―憑夢龍と蘇州文化 (講談社選書メチエ)
大木 康講談社
講談社
馮夢龍とその時代、そして蘇州一帯の文化について述べている。概説的な面が強く、推測しかできないことも多い。
馮夢龍が岳飛を描いた「精忠旗」については触れていない。
馮夢龍が岳飛を描いた「精忠旗」については触れていない。
考える細胞ニューロン―脳と心をつくる柔らかい回路網 (講談社選書メチエ)
桜井 芳雄講談社
講談社
様々な脳科学の本を読んだが,本書はその中でも群を抜いてわかりやすい.
入門書としてもオススメだが,ある程度知識がある人にとっても読み物として十分読める.
もちろん一般向けの読み物としても楽しめる.
ただ,この分野を志している若い人であれば,もう一冊ちゃんとした入門書(教科書)を読む必要があるかもしれない.
内容は基礎+理論応用といった感じ.
今流行のMRIなどのイメージングの話は登場せず,動物実験を中心とした基礎事項が網羅されている.
文献一覧があり,さらに詳しく学ぶための道しるべにもなる.
図表には出典もとの論文が記されているので,専門としている人にとっても便利な本.
入門書としてもオススメだが,ある程度知識がある人にとっても読み物として十分読める.
もちろん一般向けの読み物としても楽しめる.
ただ,この分野を志している若い人であれば,もう一冊ちゃんとした入門書(教科書)を読む必要があるかもしれない.
内容は基礎+理論応用といった感じ.
今流行のMRIなどのイメージングの話は登場せず,動物実験を中心とした基礎事項が網羅されている.
文献一覧があり,さらに詳しく学ぶための道しるべにもなる.
図表には出典もとの論文が記されているので,専門としている人にとっても便利な本.
江戸の市場経済―歴史制度分析からみた株仲間 (講談社選書メチエ)
岡崎 哲二講談社
講談社
数量経済史(扱う対象が限られている)・マルクス経済史(分析が余剰形成と階級間分配に限られる)・新制度学派(循環論法に陥っている)の欠点を示し、制度の生成と発展を説明できるのは歴史制度分析という視点だというのが著者の立場だ。
江戸時代は停滞期だと思われることもあるけど、経済が発展していたことがわかる。ここで不思議なのは、経済成長に必要とされる所有権(なぜって、自分のものはずっと自分のものだという信頼がなければ安心して投資できない)が江戸時代に確立されていたわけではないという点だ。棄捐令ほどではないけれど、債権回収がうまくいかなくなる可能性の高くなる相対済令が頻繁に出されている。
その答えは私的な関係にある。ヨーロッパのマグレブ商人が行ったような多角的懲罰戦略は、日本の株仲間にも見られたとしている。追い出されるの怖さに逸脱行動はしないし、逸脱したことのある在外代理人は雇ってもまた逸脱するだろうから雇いたくないのである。この制度のもとでは誠実に行動するのが部分ゲーム完全均衡戦略として維持されている。
ロジックは明解だしデータも豊富なので、満足いく内容だろう。
江戸時代は停滞期だと思われることもあるけど、経済が発展していたことがわかる。ここで不思議なのは、経済成長に必要とされる所有権(なぜって、自分のものはずっと自分のものだという信頼がなければ安心して投資できない)が江戸時代に確立されていたわけではないという点だ。棄捐令ほどではないけれど、債権回収がうまくいかなくなる可能性の高くなる相対済令が頻繁に出されている。
その答えは私的な関係にある。ヨーロッパのマグレブ商人が行ったような多角的懲罰戦略は、日本の株仲間にも見られたとしている。追い出されるの怖さに逸脱行動はしないし、逸脱したことのある在外代理人は雇ってもまた逸脱するだろうから雇いたくないのである。この制度のもとでは誠実に行動するのが部分ゲーム完全均衡戦略として維持されている。
ロジックは明解だしデータも豊富なので、満足いく内容だろう。
永楽帝―中華「世界システム」への夢 (講談社選書メチエ)
檀上 寛講談社
講談社
近年の海洋史観や、草原史観からすると、明という時代はあまり評判がよろしくない。陸海の経済ネットワークを閉鎖的なものに切り替え、東洋と西洋の力関係の逆転をまねいたからであるとされる。
そのほぼ転換期の人物である永楽帝を本書はとりあげる。簒奪者としての負い目から中華的世界システムを目指した彼は、鄭和の南海大遠征モンゴル親征などを推し進める。それは強烈なキャラクター性や物語性にあれふている。
しかし、彼以後、明は閉鎖的な体制をとりつづけ、やがて西洋に東洋が追いぬかれ、従属される遠因をつくることとなるのである。
そのほぼ転換期の人物である永楽帝を本書はとりあげる。簒奪者としての負い目から中華的世界システムを目指した彼は、鄭和の南海大遠征モンゴル親征などを推し進める。それは強烈なキャラクター性や物語性にあれふている。
しかし、彼以後、明は閉鎖的な体制をとりつづけ、やがて西洋に東洋が追いぬかれ、従属される遠因をつくることとなるのである。